[]シンメトリーと自然と芸術


シンメトリーと自然と芸術


皆さんは美しいゴシック建築物だとか神社などの建築物や、綺麗な花びらだとかお魚、美しい形をした富士山、様々な美しいデザインを見たことがあると思います。 それではこのような美しい形というものは、どのようにしてつくられるのでしょうか。ちょっと皆さん考えて見ましょう。

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実は、美しい形の多くは、「シンメトリー(対称性)」という性質を持っているものがほとんどなのです。シンメトリーには色々あるのですが、ここでは例えばシンメトリーの例の一つとして、左右対称性といったものを取り上げます。数学、デザインの世界ではこのシンメトリーを「鏡映対称性」と呼んでいます。

先にあげた富士山、美しいゴシック建築、神社などは「鏡映対称(左右対称)」にできています。だから私たちはこれらを美しいと感じるのです。もしも左右がぜんぜん違ったら、私たちはあまり美しいとは感じなかったのではないでしょうか? 「鏡映対称性」に注目すると、身の回りのデザイン、美しい形にいろんなところに「鏡映対称性」が利用されていることがわかります。

さて、このシンメトリーに着目して、沢山の芸術作品を創った芸術家として、エッシャーがいます。彼の絵をはじめてみると、それまで見たことのなかったエッシャー独特の画風に、多くの人は驚くと思います。僕も驚きました。彼は「鏡映対称性」だけでなく、沢山の種類のシンメトリーを使って、作品をつくりました。


エッシャーアルハンブラ宮殿の沢山のきらめく色彩のタイルで覆われた壁や床の幾何学模様に深く感動しました。アルハンブラ宮殿の模様は「シンメトリー」を使った模様だったのです。エッシャーはその後、たくさんの幾何学模様の作品を創りましたが、当時のエッシャーはそれらが自然科学と関連しているということを知りませんでした。ところが1935年、エッシャーは自然科学の結晶学の世界で「シンメトリー」が活発に使われていることを知ります。
結晶も実は色々なシンメトリー(例えば並進対称性)を持っています。
自然の奥深くに、シンメトリーがあったのです。

「シンメトリー」は実は自然を理解するうえで非常に重要な役割を果たすことが知られており、そのためこのエッシャーの作品は自然科学者の間でも広く知られています。実際、僕はエッシャーの本を図書館で初めて見たのですが、芸術のコーナーでなく、自然科学のコーナーでエッシャーの本を発見しました。エッシャーは芸術の世界で有名ですが、自然科学の世界でも多くの人々がエッシャーを知っているのです。


さてその後、エッシャーはシンメトリーを初めとして様々な数学を駆使して、作品を発表していきます。無限の絵を数学を用いてあらわしたりして様々な作品を発表しました。工芸大にも沢山のエッシャー関連の本があるので、一度彼の不思議な絵をじっくり見てみてはどうでしょうか?さて、対称性を用いると、実に色々なデザインができるのですが、今回は基本的な対称性を理解しておきましょう。


ひとつは回転対称性です。雪の結晶は非常に美しい形をしていますが、それは1/6回転すると元に戻る回転対称性があるからです。家紋も徳川葵とか回転対称性を取り入れています。自然の世界では美しい花びらなどが、回転対称性の例でしょう。他にはどんなものがあるでしょう(ロゴとか)。

もうひとつ、重要な対称性は並進対称性です。これは、ある模様(ユニット)を一定だけずらすと、元に戻る模様のことです。同じ模様がずっと続くわけです。結晶とか、色々な模様とかが並進対称を持っています。 これがまさにアルハンブラ宮殿で見られる美しい模様です。身近なところでは、洋服やじゅうたんの模様、建築物などにも使われています。同じものが沢山あると、それだけで強い印象を与えます。

以上、シンメトリーの基本の話をしてきました。シンメトリーというと、芸術というよりは数学、物理の話と思う人もいるかもしれませんが、実は芸術の世界でもかなり使われているのです。そればかりか、シンメトリーが活用されていないデザインの方が少数派ではないでしょうか?

というわけで、色々なシンメトリーがわかると、美しいデザインがつくれます。シンメトリーについて色々調べてみましょう。


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