[]物理学概論第一回目

「私たちはどこから来たのか、私たちは何者なのか、私たちはどこへ行こうとしているのか」



ゴーギャンは南太平洋の楽園、タヒチで有名な大作「私たちはどこから来たのか、私たちは何者なのか、私たちはどこへ行こうとしているのか」を作りました。ゴーギャンは文明社会から隔絶されたタヒチで暮らす人々を見て、人間存在に関する根源的な問いをこの作品にこめたと言われています。

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物理学の世界も、これと似たところがあります。私たちが物理をするのは、まさに「私たちはどこから来たのか、私たちは何者なのか、私たちはどこから来たのか」という私たちの存在に対する問い、そして私たちを超えて、「この世界はどこから来たのか、この世界は何か、この世界はどうなるのか」という根源的な問いに物理学がもっとも真剣に取り組んでいるからです。

私たちが星空や天の川に興味を持ったり、宇宙飛行士になって宇宙から地球を見てみたいなどと思うのは、私たちが生きているこの世界の根源が宇宙にあると感じているからではないでしょうか?

さて、「私たちは何者か」「私たちの世界は何か」というテーマを考えるとき、大きな宇宙を考える一方で、小さな世界も重要になってきます。私たちが何らかの「あるもの」でできているとき、その「あるもの」の本質を知るにはその「あるもの」を分割して調べていけばいいわけです。私たちは、その「あるもの」とは原子であるということを知っています(本当はもっと小さな世界もあります)。つまり、小さな世界をしれば、私たちとは何かがわかるわけです。実は、この小さな世界ではSFの世界のような不思議な出来事が起こります。パラレルワールドの世界とか色々議論されています。

「時間と空間」も「私たちの世界は何か」を知る上で、非常に大きな興味の対象です。哲学の世界でも美学の世界でも「時間」は重要なテーマですし、タイムマシンとかワープとか時間、空間を利用した物語は数え切れないほど作られています。時間と空間に関する考え方は、20世紀になってあのアルバート・アインシュタインが一変してしまいました。アインシュタインによれば、時間は全ての人々に均等に流れる絶対的なものではなく、空間、そして質量とさえも関連してくるということを1915年に示してしまいました。あの有名な相対性理論です。



音と光


このように、物理学の世界は私たちの世界に対する根源的な問いに答えようとする学問であることがわかったわけですが、そういった哲学的なレベルまでいかなくても、物理学は私たちの世界の仕組みを解き明かす学問ですから、芸術作品を作るうえで直接(技術的に)関連した音や光についても知ることができます。

光とはどのようにして生まれるのでしょうか。オーロラや花火の美しい色はどのように生まれるのでしょう。何故星には赤っぽいアンタレスのような星と、シリウスのような青白い星があるのでしょう。ホワイトバランスとは何でしょうか?何故夕焼けは赤いのでしょう。何故海や空は青いのでしょう。カメラで回折現象が重要になるとはどういうことでしょう。こういった疑問に、物理学は簡単に答えを与えることができます。

どうして同じ「ドレミファソラシド」の音なのに、楽器によって違う音になるのでしょう。美しい音はどのように作られるのでしょう。また、昔前までは、ステレオ音源が主流でしたが、最近はホームシアター等で使われる5.1ch音源などが出てきています。この違いは何でしょうか。これらについても理解していきましょう。


SFと自然科学


自然科学はSF作品など、様々な作品の中で大きなインパクトを与えています。自然科学が関連した有名な作品として、鉄腕アトムとか銀河鉄道999とか宇宙戦艦ヤマト、スターウオーズなど色々あります。これらの作品は単に人気があったというだけでなく、実はそれ以上の意味合いがあります。例えば「鉄腕アトム」を取り上げてみます。日本にはロボットがたくさんあります。日本にあるロボットは、海外のロボットとはその見かけが大きく異なります。海外のロボットと異なり、日本のロボットは「人型」であることが多いのです。

それでは何故、日本人は人型ロボットを作りたがるのでしょう。それは、「鉄腕アトム」が大きな影響を与えたといわれています。「鉄腕アトム」によって当時の子供たちは人型ロボットに興味を持ち、それが今の日本の技術者たちが人型ロボットを作っていることに影響を与えているといわれています。アニメ、映画というのは人々にものすごい影響を与えるんですね。

さて、SF作品は子供たちに大きな影響を与えるだけではなく、最先端の自然科学にも大きな影響を与えます。キップ・ソーン博士は1988年、「ワームホール」を用いたタイムトラベル理論を発表しますが、実はこの着想はソーン博士の友人のSF作家が小説を執筆中に26光年離れたところに1時間で到達するにはどうすればいいか相談したことが始まりと言われています。ですから皆さんが色々創造力を膨らませて、自然科学者と接するとものすごい宇宙や時間の未知のことがわかるかもしれません。

次に銀河鉄道999のお話をしましょう。銀河鉄道999は「永遠の命」について深く考えさせる作品になっていますが、SF作品としても代表的な作品のひとつです。作者は松本零士氏ですが、彼はSF作品を作り上げる上で、色々なアイデアをどこから仕入れてきたのでしょう。ブルーバックスの「相対論的宇宙論」の復刻版のなかで(佐藤文隆松田卓也著)彼は「移動性ブラックホールなど『銀河鉄道999』や『宇宙船間ヤマト』の多くのアイデアがこの本から生まれました」といっています。このように、SF作品が人々に大きな影響、感動を与えるだけではなく、自然科学も作家に大きな影響、感動を与えるわけです。


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