[]あどけない空の話

智恵子は東京に空が無いという

ほんとの空が見たいという

私は驚いて空を見る


<中略>

阿多多羅山の山の上に

毎日出ている青い空が

智恵子のほんとの空だという

あどけない空の話である。

高村 光太郎 智恵子抄「あどけない話」より


最近、中学時代に学んだこの詩を思いだす。
どういうことかというと、天体観測のために厚木の夜空を眺めても、光害でほとんど星が見えないのだ。

子供の頃は東京の杉並の高円寺という、新宿から歩いてわずか1時間ほど(4km)のところに住んでいたのだが、それでもカシオペヤとか北斗七星くらいは完全に見えた。

ところが今や厚木に住んでいるというのに、カシオペヤすら見えないときもある。


厚木だけではない。
子供の頃、家族旅行に連れて行ってもらったとき、何度か天の川を見た。ところが大人になり、自分で同じ観光地に天の川を見に行っても街灯や街の明かりでもはや天の川は見えないところが多い。

だからもう東京には空がないだけではなく、日本のいたるところで空がなくなってしまったのだ。



しかし、実は今でも東京にも空はある。
小笠原である。
昨年、小笠原に行ったとき、毎晩のように美しい天の川を見た。


自分が将来年をとった時も、こんな風にほんとうの空が残されていればいいなと思うのです。


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