[]博士の愛した数学


数学とか自然科学関連の小説というと、えらくなった数学者や自然科学者が
一般の人々に数学、自然科学に興味を持ってもらえるようにと無理して書いているものが多い。例えばビッグバンを提唱したガモフの「不思議の国のトムキンス」などだ。これらは結構面白いのだが、ストーリー性はあるものの、いつの間にかやはり自然科学や数学の内容が主で、ストーリーの魅力は従になってしまっているものが多い。


その結果、自然科学者などのいわゆるうちわでは人気が高いのだが、一般の人々にはあまり知られていないものが沢山ある。もともと自然科学者でない人々に、自然科学に興味を持ってもらうことがこういった本の主目的なのに、読者がほとんど内輪というのが皮肉なことである。

それに対して、この「博士の愛した数学」は小説としての魅力が主で、数学が従である。素数の話とか色々出てくるのだが、それら素数にきちんと小説としても魅力を持たせることに成功しているのだ。

その結果、「数学の魅力を伝える出版に尽力した」として、この筆者の小川さんは日本数学会から賞を受賞した。


僕もこういう小説とかエッセイとか書けたら書いてみたいなあ。