[]悲しみよ、こんにちは、悲しみよ、さようなら

ものうさと甘さがつきまとって離れないこの見知らぬ感情に、悲しみという重々しい、りっぱな名前をつけようか、私は迷う。その感情はあまりにも自分のことだけにかまけ、利己主義的な感情であり、私はそれをほとんど恥じている。ところが、悲しみはいつも高尚なもののように思われていたのだから、
私はこれまで悲しみというものを知らなかった。<中略>
その夏、私は十七歳だった。そして私はまったく幸福だった。


「悲しみよ、こんにちは」 フランソワーズ・サガン 朝吹登水子訳 より

世の中には「小説の書き出し」がすごく印象的な小説があって、何年たっても忘れないものがある。このフランソワーズ・サガンの「悲しみよ、こんにちは」もそうで、恋愛小説なんて全く興味がないし、他の恋愛小説も読んだ記憶すらないのだが、この小説は高校時代偶然本屋で見てみたらこの「書き出し」が印象的で、最後まで読んでしまった。

この作品は彼女の処女作で、彼女が18歳の時に書いたものだが、こういう文章というのは若いときでないとかけないのだろう。そういえば綿矢りささんの小説も、書き出しがとても印象的だった。

で、今日色々な本を買ったついでに小説コーナに行ったら、サガンの「悲しみよ、こんにちは」が目に入ったので、購入してみた。すると、彼女は去年の秋、亡くなっていたことが記されていた。
追悼の意味で、またこの小説を読んでいる最中。





悲しみよこんにちは




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